【九州競馬】

アラブの重戦士

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【緊急コラム20041108 シルキーオー引退の日】


シルキーオーが引退した。
2004年11月7日、私は北海道の宿で朝飯を食い終わって
食休みに新聞を見ていた。
そこに競馬仲間から携帯電話に電話があった。
「心して聞いてください。シルキーオーが登録抹消されました。」
ちょっとだけビックリした。でも「来るべき日が来たか」と思った。

シルキーオーは10年ぶりくらいにすごく大好きになった馬だった。
競馬を始めたのが10年前でその時は中央競馬で大活躍をしていたヒシアマゾンが好きだったのだが、
以来、好きな馬は出てこなかった。
そのうち中央競馬には興味が無くなり、次第に地方競馬に傾倒していった。
そして熊本県の荒尾競馬で見つけたのがシルキーオーと言うアラブ馬だった。

たまたま出会った馬主さんの紹介があって荒尾競馬の厩舎に入れてもらえた。
一目散にシルキーオーの居る厩舎に向かった。
バカでかい体躯に人懐っこい性格。撫でても物怖じすることなく、
人の服をかじったりして相手をしてくれた。

11月5日から3日間、私はシルキーオーの母シルキーローザを
カメラやビデオで撮影しようと北海道に来ていた。
最初の2日間はシルキーローザはなかなか私に近寄ってくれなくって難儀した。

実はシルキーローザにお別れを言いに来た北海道行きであった。
私がそろそろ仕事に専念するための(ほぼ)最後の旅行と位置付けていたからでもあるし、
アラブという種類である馬であるシルキーローザとシルキーオーは
現在の競馬事情では天寿を全うするのは難しい状況だったからだ。
シルキーローザに会うのは9月に続いてまだ2度目。
しかし9月の時も3日間びったり私はシルキーローザに付きまとった。
だからいい加減私の顔も覚えていたのだろう。
11月の今回は本当に愛想が無かった(苦笑)。最初のうちは。

シルキーローザの居る牧場には正午頃行った。
シルキーローザは今日に限って愛想がとても良かった。
私はシルキーオーの引退を聞いた時、平静であったつもりだったが
もしかしたら心のどこかでシルキーオーの引退と
今日でのシルキーローザとの別れを悲しんでいたのかもしれない。
それをシルキーローザに悟られたか。

「おまえの息子、引退したってよ。なぁシルキーローザ。」

シルキーローザは近くに寄ってきて肩から股から腹まで
フンフンフンフン私の臭いを嗅ぎまわって居る。
撫でられるのが嫌いなシルキーローザだったが、
この日だけはちょっと我慢してサービスしてくれたようである。
この日はよくシルキーローザの鼻の上を撫でた。
ビデオを回すために良い位置取りをしようとして、
シルキーローザから離れても、すぐ後をついてきた。

牧場は良く晴れていた。海風が心地よく吹いてきた。

ビデオを撮ったり、カメラで撮ったりした。
もう思い残すことは・・・無いと言ったら嘘になる。
いつまでもそこに居たかった。
でも私の居場所はここではないのだ。
家に帰り、仕事をしなければいけない。そしてお金を稼いで生活をしていくのだ。
これからも綿々と。

「じゃあなぁ!!シルキーローザ!!ありがとなぁ!!」

そうして北海道を後にした。

安西某とかいう競馬ライターの風上にも置けない奴のように
「私は馬の気持ちが分かる」なんて思いあがりたくはない。
ただあの日の私の気持ちはきっとシルキーローザには読み取られてしまったんではないだろうか。
そのくらい3日間の滞在の中で、最後の日のシルキーローザは私をかまってくれた。
「馬は人間が何を考えているか分かる」くらいのことはあるのかもしれない。
(2004/11/08)





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